「人時生産性(にんじせいさんせい)」は、1人・1時間あたりでどれだけ粗利益(限界利益)を稼いだかを表す指標です。人手不足と賃上げ圧力が続くいま、私たちが経営指標の中心に据えることをおすすめしている数字です。計算式から、データの取り方、活用の基本までを整理します。
計算式はシンプル
人時生産性 = 粗利益(限界利益) ÷ 総労働時間
例えば、月の粗利益が600万円、社員・パート合計の総労働時間が1,500時間なら、人時生産性は4,000円です。
ポイントは、売上ではなく「粗利益」で見ることです。売上が増えても、仕入や外注費が同じだけ増えていれば、会社に残る稼ぎは変わりません。人の時間が生み出した価値を測るなら、分子は粗利益(限界利益)です。
なぜいま、この指標なのか
- 最低賃金は毎年大きく上がり続けています(令和8年度の引き上げ目安は全国加重平均で+55円)。人件費の上昇は、もはや前提条件です
- 一方で採用は年々難しくなり、「人を増やして売上を伸ばす」モデルは成立しにくくなりました
- 残された道は、いまいる人数・いまの時間で、1時間あたりの稼ぎを増やすこと。それを測るモノサシが人時生産性です
そして重要なのは、人時生産性の向上は賃上げの原資に直結するということです。1時間あたりの粗利が増えた分だけ、時給・給与を引き上げる余力が生まれます。精神論ではない、持続的な賃上げの裏づけになります。
データの取り方——まずは「全社×月次」から
分子(粗利益)は、試算表の売上総利益をそのまま使えば始められます。分母(総労働時間)は、正社員・パート・アルバイトを含めた実労働時間で、勤怠データ(タイムカード・勤怠システム)から集計します。残業時間も含めます。
最初から精緻にやろうとしないことがコツです。まずは「全社×月次」で3カ月測って推移を見る。慣れてきたら「部門別×週次・日次」へ細分化していくと、どの部門・どの時間帯に改善余地があるかが見えてきます。
数字の見方——他社比較より「自社の推移」
人時生産性の水準は業種によって大きく異なるため、他社との比較よりも、自社の前月比・前年同月比で見ることに意味があります。
- 上がっている: 打ち手が効いています。要因を特定して横展開します
- 下がっている: 粗利率の低下か、時間の使い方か。分子と分母のどちらが動いたかを分解します
部門別に見られるようになると、「頑張っているのに稼げていない部門」——つまり仕組みに問題がある部門——が数字で見つかります。
人時生産性を上げる3つのレバー
- 財務・戦略: 値付け・商品構成の見直しで粗利率を上げる。設備投資は補助金・助成金の活用で負担を抑える
- 人と組織: 適材適所と、現場が自ら動くチームづくりで、同じ時間の質を上げる
- システム・データ: 日次で計測・見える化し、週次レビューでシフトと作業配分を調整する
どれか1つではなく、3つが噛み合ったときに人時生産性は継続的に上がります。
まとめ——測り始めた会社から変わる
人時生産性は、特別なシステムがなくても、試算表と勤怠データがあれば今月から測り始められます。まず測る。数字が見えると、打ち手の議論が変わります。
測る仕組みづくりから、賃上げ原資の設計まで——30分の無料相談で、御社の現状に合わせた始め方をご提案します。

